カテゴリ:タオ内丹学

  • 横浜国大・1SLIS大会で体脱時の脳波測定を発表
    [ 2010-03-21 11:42 ]
  • ISLISで「体外離脱」と脳血流について発表
    [ 2009-08-29 08:40 ]
  • 脳研究会で「出神」測定結果を発表
    [ 2009-07-18 16:54 ]
  • 「気の不思議と人体・意識・世界」
    [ 2008-08-31 09:12 ]
  • なぜ「内丹学」か
    [ 2006-05-02 08:27 ]

 

横浜国大・1SLIS大会で体脱時の脳波測定を発表


体外離脱体験中の脳波変化の測定
(Measuring Brain Waves Change during an Out-of-Body Experience)

乾泰宏1、河野貴美子2
(Yasuhiro INUI and Kimiko KAWANO)

1タオ研究所(日本、東京)
2国際総合研究機構 生体計測研究所(日本、千葉)

要旨:体外離脱体験とは、あたかも意識が肉体から抜け出したかのように感じる意識経験である。「タオ内丹法」(仙道)修練の中に体外離脱体験を誘導する方法がある。この方法で導かれた瞑想的な体外離脱体験状態の脳波を、最新の脳波計を用いて測定した。同方法に熟達した熟練者1名(男, 71歳)による測定の結果、体外離脱時にθ波が顕著に出現することが観察された。
キーワード:体脱体験、OBE、脳波、θ波、神経細胞、抑制、タオ、仙道



1. はじめに

 体外離脱体験(Out of body experience: OBE)とは、あたかも意識が肉体から抜け出したかのように感じる意識経験である。体外離脱体験の解釈には、実際に意識が肉体から独立して存在するという考えや、心像や視空間観点の取り方の問題とする意見、脳機能不全によるとする考えなど、さまざまなものがある1)。しかし、本格的に研究対象として扱われることは少ない。
 体外離脱体験は、事故や病気で瀕死状態になって偶発的に起こる場合や神経疾患が原因で起こる場合があるが、訓練によって随意に引き起こすことも可能である。たとえば、「タオ内丹法」(道教内丹法、仙道)修練の中に、体外離脱体験を導く方法がある。本研究は、タオ内丹法によって導かれた瞑想的な体外離脱状態の脳波を、最新型携帯脳波計で測定した。
 本報は1例ではあるが、体外離脱体験中の脳波変化で興味深い結果が得られたので報告する。


2. タオ内丹法の「体外離脱」修練

 「タオ内丹法」(仙道)は、「身体」と「意識」を同時に鍛錬する修練法である。全体は(1)「築基」、(2)「煉精化気」、(3)「煉気化神」、(4)「煉神還虚」、(5)「還虚合道」の5段階に分かれ各段階を各5~7年かけて修練していく。
 「体外離脱」修練は(4)「煉神還虚」段階で行う。(4)の「煉神還虚」段階では「意識」の修練を深め、「後天意識」(「個我意識」)の滅却に努め、「後天意識」の働きが弱まると、意識は「先天意識」が主体となり、「意識体」の体外離脱が始まる。
 実験においては(1)「安静時」、(2)体内の意識の3つの中心を脳中幹に集める「三華集頂」、(3)意識体が体外離脱する「出神」、(4)体外の意識体が周辺遊躍する「神遊観」、(5)意識体を体内に収容する「収神」の5つのパートに分かれて意識体の体外離脱を行い、各段階における脳波の変化を測定した。

3. 実験方法

実験場所・期間:測定は東京都内の研究室にて、2009年9月24日に行った。
被験者:仙道の熟練者1名(男、71歳)(著者の1人)とした。
脳波測定:(Fig. 1)。脳波は携帯型のDiscovery24(BrainMaster社製)を用いて、国際10-20法に基づく頭皮上12部位よりの単極導出で、同時に呼吸、脳波を計測した。

手続き:脳波の計測は、まず一連のコントロールとして、座位にて安静の閉眼、開眼、続いて閉眼でのクラシック音楽静聴、さらに1000から7を引き続ける暗算を計測した。光ファイバー端子装着後、通常の脳波測定手順通り閉眼安静(1分)、開眼安静(1分)、クラシック音楽視聴(2分)、計算(2分)から開始した。その後被験者は、体脱のための準備として三華集頂(約4分)、体脱作業として出神、神遊観(約6分)を行い、終了作業として収神、安静(約5分)の作業を行った。
データ解析方法:脳波の周波数解析にはATAMAPⅡ(キャセイコムテック社)を用い、5.12秒間(1024ポイント)を1単位としたFFT(高速フーリェ変換)の6単位平均から各帯域別のパワースペクトルを求め、トポグラフを描いた。用いた周波数帯域はδ:2.0~3.8Hz、θ:4.0~7.8Hz、α:8.0~12.8Hz、β:13.0~29.8Hzである。



Fig. 1 脳波測定状況

4. 結 果
Fig. 2に実験中(約16分)の脳波の変化をトポグラフによって示す。
測定結果:本測定は被験者1名による測定であるが、実験の結果、安静時はα波が通常大きくなる後頭部のみならず前頭部にも出ている。瞑想に入ると、後頭部のα波はむしろ減り、前頭部に目立つようになる。完全に意識が抜け出ると、α波は極端に小さくなり、θ波が前頭中央部から頭頂にかけて、連続的に出現した。
被験者は2009年8月にfNIRSによる体外離脱中の脳血流変化の測定を行い、体脱中に前頭中央部の顕著な血流量の減少が見られるという興味深い結果が得られている(1)。今回の脳波測定でも体脱中に神経細胞の活動抑制を表すα波、θ波が顕著に表れており、fNIRSによる体外離脱中の脳血流変化測定で、体脱中に前頭中央部の前頭中央部の血流統制が観測されたことと対応している。

5. 考察と今後の課題

体外離脱中の諸現象を計測した例は少ない。わずかにアメリカ・インゴ・スワンの体外離脱中に電気活動の減少があった(2)という報告などがあるにすぎない。
本研究では、体外離脱中の脳波と脳血流にかなり顕著な通常とは異なった状況が現れることを示している。それによって、「意識」が体外に離脱した結果であるかどうか即断することはできないにしても、何らかの関連があることは明らかで、将来「意識」を測定する研究の一歩となることは言えると思われる。
今後の課題としては、脳血流の変化が前頭部のほか、他の部位でどのような変化が起こるのか調べる必要がある。脳波変化についても同様で引き続き、さまざまな角度から瞑想的体脱体験の脳波ならびに脳血流の測定を試みる必要がある。
同時に体外に離脱した「意識」が被験者が考えているように一種の「電磁体」であるとするならば、体外においてある諸端子などに対し何らかの「電磁反応」を起こす可能性が考えられ、その方向での実験も行われる必要がある。

参考文献

1) 乾泰宏、小久保秀之:fNIRSによる体外離脱体験中の脳血流変化の測定、Journal of International Society of Life Information Science, 27(2): 181-182, 2009.
2) ジャネット・リー・ミッチェル:「アウト・オブ・ボディ」p30


by tao-naitan | 2010-03-21 11:42 | タオ内丹学 

ISLISで「体外離脱」と脳血流について発表

8月29日所属するISLISの第28回生命情報科学シンポジウムが箱根・湯本ホテルで開催され、「体外離脱」と脳血流について発表しました。今回は先の7月の永田町・星陵会館「脳機能イメージング研究会」よりも時間が多く頂けたため脳血流測定結果ばかりでなく、「体外離脱」そのものへの考察も行いました。
 以下が発表文です。

fNIRSによる体外離脱体験中の脳血流変化の測定
(Brain Blood Flow Change during Out-of-Body Experience by fNIRS)

乾泰宏
(Yasuhiro INUI)

タオ研究所(日本、東京)

要旨:「タオ内丹法」(仙道)修練の中に、意識を肉体の外に誘導する方法がある。この方法で導かれた一種の体外離脱体験状態の脳血流を、近赤外分光血流計を用いて測定した。同方法に熟達した熟練者1名(男, 71歳)による予備測定の結果、前頭前野で顕著な血流減少が観察された。
キーワード:体脱体験、近赤外分光血流計、fNIRS、脳血流



1. はじめに

 「タオ内丹法」(仙道)修練の中に、あたかも意識が肉体から離れたかのように感じられる状態(体外離脱体験という意識状態)を導く方法がある。この方法で導かれた瞑想的な体外離脱状態の脳血流を、多チャンネルの近赤外分光血流計(functional near infrared spectroscopy: fNIRS)を使って測定した。fNIRSは、日本で開発が進んでいる最も新しい非侵襲計測法である。fNIRSは頭皮近くの大脳皮質しか測れず(頭皮から深さ2-3cm)、空間分解能も2-3cmであるが、立位や座位で測定ができる、被験者の負担が脳波測定と同程度であるなどの利点がある。
 本報では、1例ではあるが、体外離脱体験中の脳血流変化で興味深い結果が得られたので報告する。

2. タオ内丹法の「体外離脱」修練

 「タオ内丹法」(仙道)は、「身体」と「意識」を同時に鍛錬する修練法。全体は(1)「築基」、(2)「煉精化気」、(3)「煉気化神」、(4)「煉神還虚」、(5)「還虚合道」の5段階に分かれ各段階を各5-7年かけて修練していく。
 「体外離脱」修練は(4)「煉神還虚」段階で行う。(4)の「煉神還虚」段階では「意識」の修練を深め、「後天意識」(「個我意識」)の滅却に努め、「後天意識」の働きが弱まると、意識は「先天意識」が主体となり、「意識体」の体外離脱が始まる。
 実験においては(1)「安静時」、(2)体内の意識の3つの中心を脳中幹に集める「三華集頂」、(3)意識体が体外離脱する「出神」、(4)体外の意識体が周辺遊躍する「神遊観」、(5)意識体を体内に収容する「収神」の5つのパートに分かれて意識体の体外離脱を行い、各段階における脳血流の変化を測定した。

3. 実験方法

実験場所・期間:脳血流測定は2009年5月2日、国際総合研究機構 生体計測研究所にて行った。
被験者:仙道の熟練者1名(I001、男、71歳)(著者)とした。
脳血流測定:脳血流測定には、780nm, 805nm, 830nmの3波長の光を用いる近赤外光イメージング装置FOIRE-3000(島津製作所製、日本)を用いた(OMM-3000の同型機1))。送光極5極、受光極4極を3×3の正方格子に交互配列し、前頭前野を測定した(Fig. 1)。



Fig. 1 光ファイバー装着位置

手続き:脳血流の測定は光ファイバープローブ装着後、血流が十分安定してから開始した。被験者の作業課題は、体脱のための準備(約4分)、体脱(約6分)、終了作業(約5分)であった。
データ解析方法:体脱体験の状態に入って10秒ほど経過した時点から200秒間のデータを、59点20回スプライン補間で加算平均した。

4. 結 果

 Fig. 2に、体脱体験中の総血流量の変化を簡易マップとダミー脳への投影図で示す。本測定は被験者1名による予備的な測定であるが、前頭前野で顕著な血流量の減少が見られるという興味深い結果が得られた。

Fig. 2 瞑想的体脱体験中の総血流量変化
上:簡易マップ表示 下:ダミー脳への投影図
いずれも200秒加算平均。

5. 考察と今後の課題

 今回は、前頭前野のみを測定した。他の部位でどのような変化が起こるのか調べる必要がある。fNIRSで測定しているのは頭皮に近い部分だけであるので、脳深部に血流が集まっている可能性も考えられる。引き続き、さまざまな角度から瞑想的体脱体験の測定を試みたい。

参考文献

1) Chen W, Zhang T, Wang F, Kokubo H and Yamamoto M: Change of hemoglobin concentration of cerebral cortex and respiration frequency during qi-emission task, J Intl Soc Life Info Sci, 21(2): 473-492, 2003.
2) 小久保秀之、山本幹男、河野貴美子: 近赤外分光法による図形推測時の脳活動の研究, 超心理学研究, 10(1&2): 33-36, 2005.
3) 小久保秀之、山本幹男、渡辺恒夫、河野貴美子、坂本和巳: 近赤外分光血流計を用いた推測課題時の脳血流変化. J Intl Soc Life Info Sci, 24(1): 224-239, 2006.
4) 小久保秀之、山本幹男、河野貴美子: 自由応答型推測における脳血流. 超心理学研究, 11(1&2): 12-20, 2006.
5) Elliott R, Rees G and Dolan RJ: Ventromedial prefrontal cortex mediates guessing, Neuropsychologia. Apr; 37(4): 403-11, 1999.
6) 小久保秀之、山本幹男、桂川秀嗣、鎌田明彦、河野貴美子、橋爪秀一、渡辺恒夫: fNIRSによる太極拳の測定. Journal of International Society of Life Information Science, 26(1):134-137, 2008.

「タオ内丹法」と「体外離脱」

「タオ内丹法」における、「体外離脱」の方法と状況について述べる。「タオ内丹法」は長い時間をかけて「身体」と「意識」の双方を鍛錬することを目的としているが、そのステップは「築基」「煉精化気」「煉気化神」「煉神還虚」「還虚合道」の5段階に分類される。
「体外離脱」の修練は4番目の「煉神還虚」の中心修練である。
 その方法は、それまでの修練で「固成」されてきた、「上丹田」(脳)、「中丹田」(だん中・胸)、下丹田(下腹部)の三つの「意識中枢」を、脳で「合体」(三華集頂という)する。しばらく温養すれば、「白い光」が生じて、やがて自然に「体外離脱」が始まる。まず「白い光」を体外に出し、その中に「意識体」が自然に出ていく(「出神」。この場合の「神」は意識の意味)。
 その後しばらく「温養」。体外に出た「意識体」は自然に遊よく(散歩)を始める。たとえば都心マンションの一室で修練していたような場合、「体外離脱」した「意識体」は、部屋を出てドアをすり抜け廊下に出て、エレベータに乗って1階フロントを出て前の「公園」に出る。その後たとえば近くの「庭園後楽園」を散策するとかする。その間「明晰視」のように「意識体」の動く周辺の情景が「見える」(この行為は「神遊観」と呼ばれる修練)。その後元来た道をたどりマンションの一室にもどり、修練者の頭上に立って、「意識体」は再び元の身体内に戻る(これを「収神」という)。

本来「タオ内丹法」の目的は、人間の身体と意識を「先天」部分と「後天」部分にわけ、生れ落ちて以来「後天的」に身についた意識と身体の「バグ」を取り去って身体と意識を「先天」の状態に戻すことにある。この状態を得ると先天部分の「覚醒意識」は体外に離脱し始める。
 
 「意識」のかたち 

内丹法によれば「意識」は大きく分けて二層に分かれており、胎児の時代から4-5歳ぐらいまで運用を続けてきた「先天」意識部分は、いわば「覚醒意識」というべき部分。揺れたりぶれることのない原意識で「元神」とも称される。
それに対して通常我々が「意識」と呼んでいる「後天的」に身についた意識部分は、喜怒哀楽、さまざまな欲望、知識、そして潜在意識を含んだ膨大な領域を擁して、つねに揺れ動き、ぶれている部分。その揺らぎの結果が生老病死に繋がっていくと考えられている。

簡単に言えば「後天意識」を滅却して「先天意識」(覚醒意識)に全て入れ替えてしまう。
「後天意識」というのは人間の通常の「個我意識」。潜在意識や喜怒哀楽の感情、あるいは知識的思考など胎児から生まれ落ちてのち、瞬間瞬間に自己意識の中に蓄積されてきた意識であり、人間生活の多くの部分を動かしている。それを修練によってバグを取り去り滅却することで「先天意識」のみが残るようになる。

通常の「意識」は「後天意識」と「先天意識」が混沌と混ざり合った状況。いわば、卵の白身(後天意識)と黄身(先天意識)が混然と混じり合った状態。その中から「後天意識」(白身)の滅却をはかると「先天意識」(黄身)のみが残るようになる。同時に体外に「意識」が離脱しはじめる。タオ(宇宙の電磁環境)の中で、「意識」の鍛練を行う。

私の仮説では「意識」は「脳」「胸中央」(だん中)「下腹部」(太陽叢)の3つのセンターに密着して覆い被さってネットワークを形成している、一種の「電磁体」である。3つのセンターとはそれぞれに「ミラーリング」の関係にあり、中心の「脳」が目覚めれば、その「ミラーリング」として立ち上がってくる。
「意識」が「電磁体」であることは、2年前「気」の測定の時、密かに「出神」(意識を体外に出す修練)を行ったところ、3回とも脳波計の波形が大きく乱れ、最後に脳波計がダウンした。何かパワーを持った「電磁体」が接近してきたことによる異状の証左と判断した。

「体外離脱」の研究

アメリカ系

1)数々の「体外離脱」者

 アメリカでは、多くの「体外離脱」者がいて、研究者による実験も試みられている。有名なところでは、ロゴ、モンロー、ユラム、フォックス、ホワイトマンといった「体外離脱者」がおり、研究者と共同で実験を行ったりしている。
 多くは「自然発生的」に「眠り」の中から、「体外離脱」を体験し、この分野に深化していった人たちだ。多くは「体外離脱」の前提に何らかの「眠り」が存在していた。

2)離脱中の脳波、電気活動の減少

 しかし、「超能力者」と言われたインゴ・スワンは「眠り」を前提とせず、瞑想状態から「体外離脱」を行うことができ、1970年代に研究者と「体外視覚」など様々な実験を行っている。
 それによると、スワンの「離脱状態」の脳波を調べた実験では、離脱中は何らかの電気活動の減少が認められた。眼球運動は停止していることが多かったという(J・L・ミッチエル他の報告)。スワンはスタンフォード研でも1週間にわたり「体外視覚」の実験を行っている。

東洋系

1)「体外離脱」は修行系の1課程

東洋系では古くから「意識修練」のひとつのパートとして、修行系宗教の中で密かに伝えられてきた。
インド古代の修行階級「バラモン」の中に確かに「体外離脱」を行う修練があったと思われるが、今日その
痕跡は残っていない。今日も伝えられるバラモン僧・達磨の「体外離脱法」や平安時代日本に来て瀬戸内地方で活躍したバラモン僧・法道には「体外離脱」の事績がある。
中国・道教の内丹法は、かつて「仙道」と呼ばれたが、その修練の一課程として「出神」(「意識」を体外に出す体外離脱)修練が位置づけられている。

チベット密教では「体外離脱」はよく知られた現象。体外離脱の法は、想念による瞑想方法が中心だが、「頂門開」といわれる頭骨を開ける修練も行う。
日本でも天台宗の中興の祖・元三大師に「体外離脱」の事績があるが、これは大師独自の修行によって達成されたものと思われ、「体外離脱」の修練が天台修法にあるわけではない。

2)「体外離脱」研究の試み

かつて国際生命情報科学学会系で気功師・佐藤真志氏が被治療者に対して行う「体外離脱」現象を計測しようとしたことがある。また東京電気大学・町教授が真言宗の僧が行う「体外離脱」を計測しようと試みたことがあったが、僧の「体外離脱」がうまくいかずいずれも必ずしも有効な結果を得るに至っていない。

3)「体外離脱」を指導する組織

現在、日本でも主としてアメリカ系の「体外離脱」訓練を指導する機関がいくつかある。
ひとつはアメリカのモンロー研究所が開発したヘミシンク(R)音による体外離脱訓練をおこなうもの。モンロー研究所では、体外離脱を誘発するヘミシンク(R)音響技術を用いたテープやCDを多数開発・販売。それを日本に移植した組織が数か所ある。同研究所で開催された「滞在型ワークショップ」を開催するものや家庭で学習できるシステムを販売するものなどさまざま。
同様に独自の「波動アップ」方法を開発し「セルインパルス瞑想」を指導するOBEワークショップを行っている組織もある。

by tao-naitan | 2009-08-29 08:40 | タオ内丹学 

脳研究会で「出神」測定結果を発表

7月18日第11回日本光脳機能イメージング研究会が永田町・星稜会館で開催され、「出神」時の脳血流変化をとらえた研究を発表。脳研究家から少なからぬ反響が寄せられました。
 以下が発表文です。

 「fNIRSによる体外離脱体験中の脳血流変化の測定」
(Brain Blood Flow Change during Out-of-Body Experience by fNIRS)

乾泰宏(Yasuhiro INUI)タオ研究所(日本、東京)
   小久保秀之(HideyukiKOKUBO)国際総合研究機構 生体計測研究所(日本、千葉)


1. はじめに
 「タオ内丹法」(仙道)修練の中に、「体外離脱体験」を導く方法がある。この方法で導かれた瞑想的な体外離脱状態の脳血流を、多チャンネルの近赤外分光血流計(functional near infrared spectroscopy: fNIRS)を使って測定した。fNIRSは頭皮近くの大脳皮質しか測れず(頭皮から深さ2-3cm)、空間分解能も2-3cmであるが、立位や座位で測定ができる、被験者の負担が脳波測定と同程度であるなどの利点がある。
 本報では、1例ではあるが、体外離脱体験中の脳血流変化で興味深い結果が得られたので報告する。
2. タオ内丹法の「体外離脱」修練
 「タオ内丹法」(仙道)は、「身体」と「意識」を同時に鍛錬する修練法。全体は(1)「築基」、(2)「煉精化気」、(3)「煉気化神」、(4)「煉神還虚」、(5)「還虚合道」の5段階に分かれ各段階を各5-7年かけて修練していく。
 「体外離脱」修練は(4)「煉神還虚」段階で行う。実験においては(1)「安静時」、(2)体内の意識の3つの中心を脳中幹に集める「三華集頂」、(3)意識体が体外離脱する「出神」、(4)体外の意識体が周辺遊躍する「神遊観」、(5)意識体を体内に収容する「収神」の5つのパートに分かれて意識体の体外離脱を行い、各段階における脳血流の変化を測定した。
3. 実験方法
実験場所・期間:脳血流測定は2009年5月2日、国際総合研究機構 生体計測研究所にて行った。
被験者:仙道の熟練者1名(I001、男、71歳)(著者)とした。
脳血流測定:脳血流測定には、780nm, 805nm, 830nmの3波長の光を用いる近赤外光イメージング装置FOIRE-3000(島津製作所製、日本)を用いた(OMM-3000の同型機1))。送光極5極、受光極4極を3×3の正方格子に交互配列し、前頭前野を測定した。
手続き:脳血流の測定は光ファイバープローブ装着後、血流が十分安定してから開始した。被験者の作業課題は、体脱のための準備(約4分)、体脱(約6分)、終了作業(約5分)であった。
データ解析方法:体脱体験の状態に入って10秒ほど経過した時点から200秒間のデータを、59点20回スプライン補間で加算平均した。
4. 結 果
 Fig. 1に、体脱体験中の総血流量の変化を簡易マップとダミー脳への投影図で示す。本測定は被験者1名による予備的な測定であるが、前頭前野で顕著な血流量の減少が見られるという興味深い結果が得られた。


Fig. 1 瞑想的体脱体験中の総血流量変化
上:簡易マップ表示 下:ダミー脳への投影図
いずれも200秒加算平均。
5. 考察と今後の課題
 今回は、前頭前野のみを測定した。他の部位でどのような変化が起こるのか調べる必要がある。fNIRSで測定しているのは頭皮に近い部分だけであるので、脳深部に血流が集まっている可能性も考えられる。引き続き、さまざまな角度から瞑想的体脱体験の測定を試みたい。
参考文献
1) Chen W, Zhang T, Wang F, Kokubo H and Yamamoto M: Change of hemoglobin concentration of cerebral cortex and respiration frequency during qi-emission task, J Intl Soc Life Info Sci, 21(2): 473-492, 2003.
2) 小久保秀之、山本幹男、河野貴美子: 近赤外分光法による図形推測時の脳活動の研究, 超心理学研究, 10(1&2): 33-36, 2005.
3) 小久保秀之、山本幹男、渡辺恒夫、河野貴美子、坂本和巳: 近赤外分光血流計を用いた推測課題時の脳血流変化. J Intl Soc Life Info Sci, 24(1): 224-239, 2006.
4) 小久保秀之、山本幹男、河野貴美子: 自由応答型推測における脳血流. 超心理学研究, 11(1&2): 12-20, 2006.
5) Elliott R, Rees G and Dolan RJ: Ventromedial prefrontal cortex mediates guessing, Neuropsychologia. Apr; 37(4): 403-11, 1999.
6) 小久保秀之、山本幹男、桂川秀嗣、鎌田明彦、河野貴美子、橋爪秀一、渡辺恒夫: fNIRSによる太極拳の測定. Journal of International Society of Life Information Science, 26(1):134-137, 2008.

by tao-naitan | 2009-07-18 16:54 | タオ内丹学 

「気の不思議と人体・意識・世界」

第26回生命情報科学シンポジウム          2008.8.30 箱根合宿

  特定非営利活動法人 ・タオ研究所 代表理事   乾  泰宏

 「気」の実在は疑いないのに、メカニズムに対する考察が少ない。本来地上の「常温」の世界は、ある種波長(遠赤外線)の「光」中心の世界。その光は「水」や「アルミナ・シリカ」(土)と相互作用を行い、電気・磁気を生み出す。一方人体の表面は多くの水を含んだ表皮に覆われているが、常温の中の光は表皮の水層で電気磁気に変換される。人体内の電気・磁気として活用され、神経・経絡のネットワークをつくり、意識ネットワークを作り出す。気功とは?意識とは?不思議を生み出す力とは?ある種波長の「光」の研究と気功の原点・タオ内丹法の実践からひとつの「仮説」を導き出す。

1.はじめに

 「気」の実在は疑いないのに、メカニズムに対する考察は少なく不思議現象の対象となってきた。これは本来我々が住む地上の「常温」世界の空間は、ある種波長(遠赤外線)の「光」中心の世界であるにも係わらず、それに対する真正面からの認識が行われて来なかったことに起因する。
ビッグバンの最初から現在まで、宇宙の中で延々と続いている「光」のシステムがある。そのひとつは「熱から光が出ている」というシステムだ。1900年にプランクが提唱し、それは今日の量子科学の始まりとなった。
 ビッグバン以来続けられてきたこの「熱から光が出ている」システムによって発生した、自然界での「光」は波長によって「X線」「紫外線」「可視光線」「赤外線」「遠赤外線」などに分類されている。
「可視光線」(0.35~0.8ミクロン)は8000度Cから3350度Cの高い温度から発する光であり、「赤外線」(0.8~3.5ミクロン)は3300度Cから550度Cの高い温度から発する光である。
 しかし地球上に限ってみれば、最も大きな存在の「光」は、これらの光の熱を受けて温度(熱)をもった大気圏に包まれた地球の常温環境そのものが発している光(遠赤外線)である。「熱から光が出ている」の法則通り、地上の熱(温度)そのものが夥しい「光」を発しており、「熱」(温度)のある世界、マイナス273度以上の世界は目に見えない「光」で充満した世界であり、私達が生活する常温の世界はこの範囲に属している。
 地球上の我々の生息環境を50度Cからマイナス20度Cと仮定すると、この環境は「光」に換算すれば8.9ミクロンから 11.5ミクロンの光を発している。20度Cの環境は、9.8ミクロンの光を発し、15度Cの地球環境は常に10ミクロンの光を発している。

 地球上(現在の)で最も普遍的な「光」は「遠赤外線」であり我々人間はいわばこの「光」の海のなかで生きている。我々が住む地球の「空間」には「光の粒子」が満ち溢れているが、この「光の粒子」の具体的な作用についてはこれまで科学的にあまり検討されてこなかった。そのエネルギーの小ささから、おおむね「X線」「紫外線」「可視光線」「赤外線」のようには工業的・医療的には利用できないと考えられてきた。
しかし、ファラデーが電磁誘導の法則を導いて以来、現代社会のインフラを構成してきた電力産業は、実はこの地球環境の「光」を利用したものではないかと私は考えている。その意味で最も近代社会に活用され利用されてきた「光」の領域と言わざるをえない。
今日の電力産業は巨大投資を伴うが、それは電流を誘導する装置を巨大化することが必要だからで、「誘導される」電気・磁気そのものは「空間」から無料で無際限に導かれている。電力産業の根拠は「空間が電界・磁界を形成している」からであるが、なぜ空間に電界・磁界が形成されているのかについては必ずしも明らかではない。

 それでは、地球上の常温領域の「空間」というのは一体何だろうか?この「空間」は何もない空間ではない。それどころか常温領域の温度から放射される夥しい光の波と粒子に満ちており、同時に地上のあらゆる場所から常に蒸発を続けている夥しい水分子で充満している。
ここで重要なことは地上の環境温度が発する「光」のうち4―14ミクロンの波長の「光」は、地球上に溢れる「水分子」と相互作用を行い、その結果、光エネルギーは減衰して電気・磁気エネルギーに変換されるという点である。

「光」は「電磁波」であり「電気」と「磁気」の波がうねりながら進んでいく。一方「水分子」は「双極子」を持ち「プラス」と「マイナス」の極を持っている。この双極子を持った水分子は4―14ミクロンの波長を持つ「光」とは「相互作用」を起し、水分子は活発に動き、「光」は水分子との相互作用で「電気」と「磁気」部分に変換される。

2.光と水分子の相互作用

「光」と物質との「相互作用」について考える場合に重要なのは「波長選択性」である。物質もまた固有の波長をもっているわけだが、簡単に言うと「光」と「物質」との波長が合わなければ、そこでは何の相互作用も起こらない。
光と水分子の相互作用は①この領域で起こっていることはまず「分子の振動」であり、水分子の振動は3ミクロン前後の伸縮運動と6ミクロン前後の変角振動を中心に振動運動がある。
②この「変角運動」と「伸縮運動」が共同で水分子の「水素結合」部分を切り、たえず激しい水の構造変化をもたらしている。電場部分がまず、水分子の電荷に作用し「変角運動」をもたらし、その変角運動によって水分子の「水素結合」の角度が90度方向に角度を変える。
③90度ちかくになると、「水素結合」は外れるがそこまでいく前に、3mμ前後のところでおこる「伸縮運動」によって「水素結合」の部分がきれる。
④それがはげしい水の構造変化をもたらしており、水分子は10のマイナス12乗秒に一回、その構造を変えているが、それは「水素結合」の部分がはずれ、また新しい相手と結合するからである。
⑤常温における水の構造変化に光が関与しているのは、その振動数が10の13乗であり、それに水分子電荷が連動し、水分子が10のマイナス12乗秒に1回構造を変えるためであると考えられる。
➅この相互作用を通じて、光は水中において減衰し静電気・静磁気エネルギーに変換される(エネルギー保存の法則)。

3.光とヒトの相互作用

常温環境が出す光・遠赤外線が「空気」同様に地球環境にとって最も普遍的な光であるという認識にたち、「光への適応」が人間をはじめとする今日の生物を形成したファクターのひとつだという観点に立てば、遠赤外線といわれる光への人間の適応は多くのことをもたらしている。
人間の皮膚電位が他の哺乳動物に比して高く、神経系統の発達が著しく体内の隅々まで及んでいるのは、基本的に皮膚から吸収された光が誘電体としての水との関連で体内水の電位を高め、エネルギー・情報として伝達するシステムに関連していると言える。
 この薄い、多くの水分を含んだ人間の皮膚と、地球に恒常的な光(遠赤外線)とが作用する時、どういう事がおこるだろうか?皮膚に含まれた水と4―14ミクロンの波長の光が相互作用を起こし、水の中で「光」は電気部分と磁気部分に分かれる。こうして体内の水は「水電池」ともいうべき蓄電装置となる。この基本的なシステムが神経系統の発達を促し、筋肉を動かす筋電流となり、脳のような大容量の記憶装置を作り上げたと考えられ、内蔵や脳の体内水は電気・磁気を内に含み水電池の役割を果たし、内臓・脳・神経・筋肉などの活動を支えていると思われる。
生体のシステムはきわめて複雑で、酵素の介在や細胞膜による電位差の発生など考慮しなければならない機構はあまりにも多いが、まず光が真皮層に多量に含まれる水分子と相互作用を起こし、電気・磁気エネルギーに変換していることが考えられる。
それが脳を始め体内水の中の電気・磁気としてヒトの身体活動を影で支え、神経細胞を動かしていることが考えられるのである。
 人間が現在の地球上で最も進んだ種となりえたのは、他の動物よりはるかに多量に変換される電気・磁気を持ち得たからであり、この「電気」や「磁気」が神経腺を高度に発達させ「脳」を高度化させ、意識を生んできた。
 人間の体内の、筋肉や内臓を動かす微弱電流の存在、体内に隈なく巡らされた発達した神経系の電気・磁気的存在、脳の膨大な記憶装置に使用される電気・磁気の存在、こういったかくれもない体内の電気・磁気の存在はそれを物語っている。
人間と他の動物たちの相違の中で「皮膚」の違いは大変重要でサルを始めとする哺乳類の皮膚が分厚い獣皮に覆われているのに対して、人類の皮膚はまるで植物のようにやわらかい皮膚に覆われ、その下には水分をたっぷり含んだ真皮層が形成されており、全体の65%は水分でなりたっている。

4.気と気功

 こうして体内に吸収された電気・磁気の通り道が中国医学でいう気血の通り道「経絡」である。伝統的な中国医学は、この「経絡」を治療の根底において来た。一部に「経絡」を実証しょうという試みも行われてきた。
 「気」の運行経路の有効性を考えた場合には、その実在性は疑う余地がない。人間の身体には本来解剖学的な存在である「血管」「リンパ管」「神経」系統に加えて、解剖学的に痕跡を残さない「経絡」系統(気の経路)が存在すると考えるべきである。
中国医学の経絡として、「十二正経」が全身に張り巡らされた治療ポイントが古くから知られ治療に使われ、一方「気功」の源流ともいうべき「内丹法」においては、気の周流の最も重要な経路として「奇経八脈」を重視してきた。
双方とも解剖学に基づいた西洋医学にはない範疇だが、「十二正経」や「奇経八脈」の実際上の運用を考えると、何らかの仕組みがあると考えざるを得ない。この経絡の存在は、まだ完全には判っていない「身体」や「意識」の問題解決にも繋がっていく可能性がある。
中国医学の一方のカゲの主役は「気」だが、もうひとつのカゲの主役は「体内水」である。この「体内水」の中には皮膚に吸収された「光」が水分子と相互作用を起こして「電気」「磁気」の成分となって保存されていると考えられる。そう考えた方が、地上の光―人間の皮膚―体内水という輪環の中での「光」のふるまいとしての「気」がより説得的に受け止まられるのである。

こうして生成された「体内水」が各細胞に保存され、人間の身体各部が「電気」「磁気」的な働きを可能にする、「影のシステム」として機能している。その運搬経路となっているのが「経絡」である。
 真皮細胞がつながり、共同して「体内水」に含まれた「気」を体内各部に送り周流させるシステムを形成している可能性がある。「電気」「磁気」を含んだ体内水を周流させるプリント配線のような真皮細胞に組み込まれているネットワークこそが「経絡」だったと考えられる。
 そして「気巧」の修練によって体内ネットワークが整備され、体内にとりこまれた目に見えない「光の粒子」が「電気」や「磁気」に変換される精度を高め、強化されると、神経系の機能が高まり、その結果、さまざまなイメージが現れたり、「光」が見えたりするのも、その一端である。

     5.身体と意識の構造

 ヒトは真皮層に吸収された光から変転した電気・磁気エネルギーを十二分に活用して、身体を動かす原動力とし、脳・神経・意識が生まれてきたことに間違いない。
中国で生まれた「気功」もこの点に着目、体内にある気(電気・磁気)、精(生命活動力)と神(意識)の三つを鍛え、身体と意識の双方を同時に修練していくのが気功の原点・内丹法である。
内丹法は「築基」「煉精化気」「煉気化神」「煉神還虚」「還虚合道」の5段階を順に踏んで「身体」と「意識」(神)の双方を修練し高めていき、「煉神還虚」以後は「意識」を体外に出す修練を行うが、その内容について書くスペースはここにはない。
ユングは「内丹法」に関して「黄金の華の秘密」という解説書を共著で出版した。ユングは「内丹法」のテキスト「大乙金華宗旨」と「慧命経」を読みひとつの感銘を受けた。これは最終的に意識を体外に出す修練について述べているが、西洋的・キリスト教的手法とあまりにもことなる「体外離脱」の手法に驚き、ユングは「われわれは無意識を理解することによってその支配から解放される。修練する人間は、あらゆる外的・内的な錯綜から自己自身を解放する仕方を教えられる」と述べている。
「内丹法」の目的は、人間の身体と意識を「先天」的部分と「後天」的部分にわけ、生れ落ちて以来「後天的」に身についた意識と身体の「バグ」を取り去って身体と意識を「先天」の状態に戻すことにある。この状態を得ると先天部分の「覚醒意識」は体外に離脱し始める。

そこから「意識」とは何かということの一端が見えてくる。内丹法によれば「意識」は大きく分けて二層に分かれており、胎児の時代から4-5歳ぐらいまで運用を続けてきた「先天」意識部分は、いわば「覚醒意識」というべき部分。揺れたりぶれることのない原意識で「元神」とも称される。
それに対して通常我々が「意識」と呼んでいる「後天的」に身についた意識部分は、喜怒哀楽、さまざまな欲望、知識、そして潜在意識を含んだ膨大な領域を擁して、つねに揺れ動き、ぶれている部分。その揺らぎの結果が生老病死に繋がっていくと考えられている。

簡単に言えば「後天意識」を滅却して「先天意識」(覚醒意識)に全て入れ替えてしまう。こうして生老病死から開放され、常にぶれることのない「永遠の」生き方を得ることになるという考え方である。
この意識の構造は、現代の脳科学と照らし合わせて合致する部分が多い。例えば京都大学の苧坂(オサカ)直行教授(実験心理学)は、「意識は三層構造」だと提唱している。意識構造の三角形の一番下が「覚醒・レベル」(生物的意識)、中間層は「アウエアネス・レベル」(知覚と関係深い気付きに導かれた層)、そして最上層は「リカーシブル・レベル」(再帰的意識・自己意識レベル)だというのである。
 また胎児は4ヶ月ぐらいですでに五感が働き、心の萌芽があり、誕生後三歳頃で自分が世界の中心であるという段階を脱し、新しい視点による神経的なネットワークが再編成されると見ている。

 これは、「内丹法」が、意識を「先天」と「後天」に分類していることや、4-5歳に「先天」と「後天」の区切りがあると考えていることとほぼ合致している。そして「後天意識」の中心である「個我意識」が4-5歳以降「新皮質」の中で膨大な領域を獲得し、跳梁したり暴走したりする傾向を持っているという考え方も同様である。
もうひとつ「意識」存在の場所についての議論がある。フランシス.クリツク(二十世紀科学史上最大の発見・DNA二重らせん構造の発見者)は、「NCC」という「意識」の中枢の存在を想定。「NCC」を脳の中で見つけるアプローチを行っており、これは意識は脳の働きから生まれるという考えで「一元論」と言われる。

これに対し、 まったく対極にある考え方は、「脳の神経作用によって心を説明するのは、絶対に不可能」というペンフィールドや エツクルスのグループ。この二人の権威がそろって、 意識は脳の神経作用からは説明できないと主張している。脳と意識はそれぞれ独立して、別々に働くという考えで「二元論」とよばれる。これを「内丹モデル」で見ると、「意識」のセンターは三つある。最も重要な「上丹田」(泥丸)、そしてサブセンターともいうべき「中丹田」(だん中)、そして下丹田(気海)三つである。現実に第4段階「煉神還虚」の修練の後半では、この三つの「意識」センターを全て脳(泥丸)に集め、そこから体外に離脱する修練を行う。現在ほど、ヒトの140億の脳細胞にとって、過剰な活動を強いられている時代は少ない。必要以上に過大な脳細胞への負担が連日加えられ、脳の「新皮質」は過酷な試練を受けており、逆にこれら修行系へのニーズも同時に高まっている。 

    6.光で見直す世界観

もともと海中にいた生物が、地上に出るようになったのは海中生物が排出する酸素が地球周辺にオゾン層を形成したからだった。そのためX線、紫外線の多くがオゾン層にシャットアウトされ、はじめて生物は地上に生息しはじめ、さらに長い時間をかけて可視光線、赤外線、そして地球環境が発する「光」(遠赤外線)などへ「光」と適応する道を選んできた。
 地球上の植物は可視光線の中で最もエネルギーの強い「赤色光」を吸収して生育エネルギーに利用する道を選び、炭酸ガスを吸収し酸素を排出する「光合成」といわれる基本的なシステムを完成した。動物は植物の排出した酸素を吸収し炭酸ガスを排出する呼吸システムを発達させ、皮膚を通じて光への適応を行ってきた。
 ここで一つの仮説を想定することができる。生物の進化を論じた「進化論」は環境への適応と淘汰をその中心要因にしているが、真実は地上環境の温度(熱)が発する「目に見えない」光(波長)への適応こそが、その影のシステムではないのかという事である。
地球上の「熱的環境」はその熱(温度)の高さに応じて、それぞれ違った波長の「光」を発している。その波長の「光」を受けて遺伝子レベルから適応できた種のみが「適者」となって生存出来、繁栄する種となり得たのではないだろうかという仮設である。

 環境の温度(熱)が発する「光」は時に決定的な作用を、そこに存在する生物及び無生物に及ぼす。これまで生物の特性や無生物の物性と考えられてきた事例も、場合によればその環境の発する「光」の特性が生物や無生物に現れているにすぎないと思われるのである。例えば稀少元素の物性といわれるものは光との相互関係で発現している機構が考えられる。また「発ガン物質」といわれる物質は、自然界からX線の波長と相互作用を起す特質をもった物質がX線を集積し整調して発光しているにすぎないという事が考えられるのである。また低温分野で話題となった「超伝導」「超流動」は、マイナス200度近くで超伝導・超流動現象を示すものだが、本来この環境の温度が発する波長の「光」が「超伝導」特性をもっていることが想定される。「超流動」現象が、温度が宇宙の背景放射(2.7K)付近で起こることも何らかの示唆を含んでいる。

 地球史上最大の謎のひとつ、「恐竜滅亡」についても、当時の地球環境が発する「光」の波長が大きく変化し生存に決定的影響を与えたことが想定される。「恐竜滅亡」は隕石衝突が原因と考えられているが、隕石衝突と同時に地球のそれまでの位置が変化したのではないだろうか。裸子植物が繁茂し、巨大生物が跋扈した「恐竜」の世紀が終わったあとで、なぜ被子植物と哺乳類など小型動物達の世紀が始まったのか?それはその生息環境が発する「光」の波長が大きく変化し遺伝子レベルで適応する現象が起ったからではないか。つまり衝突と同時に、地球が若干太陽の外側に移動し、軌道が少し外側にずれることで、地球環境の温度(熱)が発する「光」の波長レベルがより長波長の側にずれたのではないか?そう考えればこの問題はある程度前進する。もちろん地球が隕石によって動かされると云う事などは起こり得ない。それには莫大なエネルギーが必要である。しかし、もし隕石衝突によっても、それまでの太陽と地球の距離に変化なかったとすれば、地球環境が発する光の海で生きる生物の種が、なぜ急激に変化したのか説得力を持って説明できないように思う。
 いずれにせよ、地上の温度(熱)は特定の波長の「光」を発している。地上における様々な現象を考える場合、その「光」にいかに反応し適応しているかという視点が必要であるように思う。

 今日「地球温暖化」が叫ばれ、「CO2削減」は世界の共通命題となっている。これまで5億年にわたって築かれてきた地球の環境温度が発する「光」と生物および無生物との相互関係は、そのどれかが欠けてもバランスを崩すほどに、すでに遺伝子レベルから相互に緊密に関係付けられている。「温度」が上昇すると、「光」の中心波長が変るが、そのときこれまで築かれてきたバランスは崩れ、生物の多様性は一気に崩壊する。その意味でも「CO2削減」が重要な意味を持っている。

by tao-naitan | 2008-08-31 09:12 | タオ内丹学 

なぜ「内丹学」か

人生をリセットする

 「タオ内丹修練」はひとつの局面では「エントロピー拡大の法則」という物理原理に逆行する実験であるということを申し上げました。タオ内丹修練をめざす人は、自分の肉体と精神を土台にして、ある意味では壮大な実験をやっているのです。そこに浮かび上るのは、まぎれもなく「人間」の真の姿です。一般には「成長」と考えれていることも「タオ」的にみれば、衰退への一歩といえなくもない。「人間」は成長と共に身長が伸び、動きが活発になり、受験競争をやり、入社試験を受ける。生きるために「社会」に適応し、何らかの会社・組織に属し、結婚し子供を産む。恋愛をし人間関係に悩む。それらは世の諸々の人の姿であります。しかしタオ(仙道)では嬰児以前の「胎児」時代に逆行しょうとする修練をひたすらにやり、「喜怒哀楽」といった人間的感情「第二念」の起こらない「状態」にまで修練を重ねようとする。タオを志すことは究極の場面においては、そういった人間的なものを捨て去ることでもあるのです。 ところで「人間」とは何でしょうか?人間の複雑さは一方ではオーガニックな側面をもった器械的・機能的な存在であるのに、また一方ではメンタルな側面をもった、精神的・霊的存在であるということです。「人間」一般について考えていても「個人」そのものはひとりひとり全く違う。地球上の60億人もの人間がひとりひとり、その内面においては全く違う存在だと言う事です。そして「我思う。ゆえに我あり」というのも真実なのであって、その個人が生きて見たものだけがその個人にとっての宇宙であり世界であるということ。しかしその個人の生命が終われば宇宙も世界もなくなるかというと決してそうではない。人間ひとりひとりはその個体から離れることはできず、生きた時間だけが彼にとっての宇宙・世界であるということ。そこから「人間はどこから来て、どこへ行くのか?」という永遠の疑問が生まれて来るのです。「人間は束の間舞台に出てきて消える、歩いている影にすぎない」とシェイクスピアは言いましたが、地球に生息する人間ひとりひとりが、自分の世界をかかえて生きて、死んで終わる。これもまた事実です。 それではひとつひとつ違う「自分の世界」とは何でしょうか?胎児として母体に宿り、嬰児として父と母の間に生れ落ち、兄弟姉妹や祖父祖母がいて、それが嬰児にとって初めて体験する社会環境。このそれぞれ違う環境の中で嬰児は最低4-5年は棲息しますが、毎日さまざまな、雑多な刺激を受け、柔軟な意識の感受性の中に深く深く埋め込まれていく。刺激を与える側の父母兄弟姉妹たちもその個性の中に何代にもわたって蓄積された感受性の堆積を抱えているということです。聖書には「はじめに言葉ありき」と書かれていますが、それにちなめば「はじめに感受性ありき」というのが全ての人間の出発点ではないかと思うのです。それらの個体の集まったものが人間の社会ですから、本来スムーズに行かない要素をいっぱい内臓しているといってよいでしょう。 成人して社会の中に育っていっても、生後の、あるいは生前(?)の環境で作られた土台がひとつひとつ傾斜も材質も違っているのですから、その土台の上に何かを建てようとしてもうまくいくはずがない。そういう誰でも持っている個体の中の歪みを昇華する作業が社会に活かされれば事業やスポーツや芸術となりますが反社会化すれば犯罪となる可能性があるわけです。そうならないまでも通常の人間にとっての人間関係の歪みや日常の行動行為の中に微妙な痕跡となって現れてくるのです。そういう問題を追及したのがフロイドやユングでした。 さて「仙道内丹法」というのは何でしょうか?私が考えるところ「仙道内丹法」というのは、個々の人間がそれぞれ内面に持っている、そういったさまざまに違った個別的感情・個我意識(識神)を取り去って、もともと人間が「胎児」の時代に本来的にもっていた感受性(元神)に戻す修練ではないだろうかと思います。つまり、これはバグが増えて汚れたり、余計なファイルが過剰になったために、すぐ「不正な処理をしたので強制終了する」というメッセージが出てしまうパソコン(私のパソコンですが)の、不要なファイルをいったんゴミ箱に入れ、「ゴミ箱を空にする」ボタンを押して、パソコンをリセットする。そしてパソコンを新生させ、スリムにして長持ちさせる作業のようなものです。 「リセットボタン」を押してしまえば、本当は保存したかった「エロ画像」(性への関心)や「お気に入り」(個人的なこだわり)のデータも消えてしまう可能性がありますが、そういうものが例え無くなったとしても日々自然に従がい、宇宙の絶えない動きに反応して、充分に活き活きと、何よりも自由にこだわりなく生き続けることが出来る手段が「タオ内丹法」(いわゆる仙道)ではないだろうかと思います

by tao-naitan | 2006-05-02 08:27 | タオ内丹学